ヒビクエスト

日々感じたことを広く浅く、時に掘り下げて綴るブログ。

少年ガンガン黄金期を振り返ってみる

私は少年時代「週刊少年ジャンプ」を愛読書にしていた。

 


当時「週刊少年ジャンプ」では……
「るろうに剣心」「地獄先生ぬ〜べ〜」「ろくでなしブルース」「NINKU -忍空-」「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」「とっても!ラッキーマン」「みどりのマキバオー」「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」「封神演義」「幕張」「遊☆戯☆王」などが人気を集めていた。
 
年代で言えば90年代初頭だろうか。
そして、「SLAMDUNK」「ドラゴンボール」「幽遊白書」の“ジャンプ三大漫画”が軸を固め、「こち亀」がどっしりと腰を据える……これは恐ろしい布陣だ。

この神がかったラインナップをリアルタイムで読めたことは“僥倖”以外の何ものでもなかったと思う。いま考えると身震いするほどのメンツだ。

私には5つ上の兄がいるため「週刊少年ジャンプ」は毎週家にあった。私は小学校に入る前から兄が読んだあとのジャンプをアホみたいに読み漁った。すると、漫画から得る知識というのは意外と大きいもので、自然と少しませたガキに仕上がっていたのだ。

周りの同年代の友人たちは、「コロコロ」や「ボンボン」にお熱。当時は彼らがひどく幼く思えた。鼻水や小便を常時垂らしてヘラヘラしているksgkにしかみえなかったのだ。まあ、本当に垂らしているやつもいたがそれはまた別の話。

とにかく、「なぁ~にが『ヤーマザキ一番!』じゃボケがっ!」と、心の中では思っていた。(※ヤマザキ一番!は今聴くと名曲 學級王 ヤマザキ一番! - YouTube

たしかにあれらの雑誌もある意味面白い。「ビーダマン」や「ミニ四駆系のやつ」が流行っていた気がする。一応周りの子供連中に話題を合わせるために立ち読みはしていたが、興奮を覚えた記憶は一切ない。所詮はお子様向けだ。

そして、そんなとっつぁん坊やな私のもうひとつの愛読書が「少年ガンガン」だった。

「少年ジャンプ」「少年マガジン」の二強の影に隠れ、「少年サンデー」「少年チャンピオン」にすら大きく遅れを取っていた“少年漫画雑誌界の第5勢力”「少年ガンガン」に夢中だったのだ。

今思うと、なぜガンガンを夢中になって読んでいたのかは謎といえば謎だ。おそらく近所の本屋で立ち読みでもしたのであろう。そしてその時に偶然“あの漫画”に出会った……。そうして、我が家に空前の「少年ガンガン」ブームが到来した。

今回はそんな私の青春「少年ガンガン」の黄金時代に連載されていた作品を振り返っていきたいと思う。

 

 

ジャングルはいつもハレのちグゥ

ジャングルはいつもハレのちグゥ 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

ジャングルはいつもハレのちグゥ 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

 

『ジャングルはいつもハレのちグゥ』は、金田一蓮十郎による日本の漫画作品。また、これを原作にしたアニメ作品。1996年から2003年まで『月刊少年ガンガン』(スクウェア・エニックス)にて連載された。

ジャングルはいつもハレのちグゥ - Wikipedia


ジャングルに住む主人公の少年「ハレ」が、友人や家族たちの奇行に振り回されるどたばたギャグ漫画。

正直この漫画はあまりよく読んでいなかった。しかしあの頃いつも「ここにいるよ」と言わんばかりの存在感を放っていた。

それはきっと奇抜なタイトルだったからであろう。これを機に私も読んでみようと思う。黄金期を支えたスタメンメンバーだ。 

 

 

突撃!パッパラ隊

新装版 突撃!パッパラ隊: 1 (REXコミックス)

新装版 突撃!パッパラ隊: 1 (REXコミックス)

 

『突撃!パッパラ隊』は、松沢夏樹による日本の漫画作品。『月刊少年ガンガン』(エニックス(現・スクウェア・エニックス))にて1991年4月号から2000年8月号まで連載された。全144話、単行本全18巻、一迅社より新装版全18巻。

突撃!パッパラ隊 - Wikipedia


不死身の主人公、水島が、最も死に近いとされている「地の果て最前線」「地獄の最強部隊」こと「パッパラ隊」に配属になった。

だがその部隊は曲者ぞろいのオタク部隊だったのだ。アクの強いキャラがまためちゃくちゃ強い。彼らが暴れるとそこら一体の地形が跡形もなくなってしまうほど。

ハチャメチャだけれど和気藹々とした内輪感が心地いい。新しい形のギャグマンガとしてガンガン黄金期を支え、連載期間は9年に及んだ。

 

 

南国少年パプワくん

南国少年パプワくん 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

南国少年パプワくん 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

 

『南国少年パプワくん』は、柴田亜美による日本の漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。
『月刊少年ガンガン』(エニックス〈現スクウェア・エニックス〉刊)において、1991年4月号から1995年6月号まで連載された。全56話、単行本は全7巻、新装版全7巻。また、続編として『PAPUWA』がある。

 南国少年パプワくん - Wikipedia


主人公「シンタロー」が迷い込んだ「パプワ島」での生活を描いたギャグ漫画。謎の少年「パプワくん」や島の奇妙な生物達(ナマモノ)との奇天烈な日常を描いた意欲作だ。

この作品はご存知の方も多いだろう。ギャグマンガの巨匠・柴田亜美先生のデビュー作でもある。その人気は凄まじく、アニメはゴールデンタイムに全国放送された。

同作品の特徴は、冴え渡るギャグセンスと筋肉ムキムキのイケメンキャラが、ときにコミカルに……ときにシリアスに滅茶苦茶入り乱れる点だ。セリフを掛け合うテンポは絶妙。迫力のバトルシーンも必見だ。

また、登場キャラクターの大半が男性であることも珍しい。連載中を通して女性キャラクターはたった一人しか登場しないとのこと。

もしかすっと、BLのはしり的漫画なのかもしれないが、下ネタは皆無だ。子供にもおすすめしたいハートフルな作品に仕上がっている。

 

 

Z MAN

『Z MAN』は、西川秀明が『月刊少年ガンガン』(エニックス(現:スクウェア・エニックス)刊)で1991年5月号から1995年11月号まで連載していたサイエンス・ファンタジー漫画作品。

Z MAN - Wikipedia


地球の遠い未来を描いたSFアクションバトル漫画。少年漫画らしい“愛”と“勇気”をテーマにしている壮大な作品だ。

同作品のストーリーは本当に良くできている。
未来の地球では、アバス(生命力)と呼ばれるエネルギーによって人工生命体“イーデア”が誕生していた。

イーデアの活躍により、地球は大きく文明レベルを上げていた。しかし、イーデアを管理する超巨大コンピュータ“MOTHER”が突如狂いだす。

おかげでMOTHERによって管理されていたイーデアも大暴走。えも言われぬ無差別殺戮マシンとなってしまう。結果、地球の半分が失われた。

物語はその1000年後から始まる。少女ヤティマによって主人公の少年は1000年の眠りから呼び起こされた。名前は「ナナシ」と名付けられた。

ナナシの本当の名前は、始まりと終わりを意味する「ザイン」。

その名前の通り、力を解放したときには規格外の力を発揮する。「おいおいやり過ぎだよ……」と思わず声が漏れてしまうような破壊っぷりが気持ちいい。

また、少年漫画らしからぬ陰湿な心理描写が特徴的。正直エグい。当時は全てを理解することができなかった。大人になってから読み返したい一冊である。

 

 

スパイラル 〜推理の絆〜

スパイラル ?推理の絆? 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

スパイラル ?推理の絆? 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

 

『スパイラル 〜推理の絆〜』は、原作:城平京、作画:水野英多の漫画。またこれを原作とする小説、アニメおよびドラマCD作品である。漫画は「月刊少年ガンガン」で平成11年9月号(1999年8月)から平成17年11月号(2005年10月)まで連載された。 

警視庁で“神の頭脳”と謳われた鳴海清隆と、その弟である鳴海歩の心理的葛藤を描いた推理漫画。主人公は弟のほう。

後半になるにつれ、「ブレード・チルドレン」と呼ばれる、超人的な体力や知力をもった少年処女との戦いがメインになっていく。

突如姿を消した兄を求め、難事件を解決に導く鳴海歩。巧妙な心理戦と練りに練られたトリックは読みごたえ抜群だ。

ライトな絵柄とは裏腹に、本格派ミステリーとしても十分に楽しめる作品になっている。

 

 

まもって守護月天!

まもって守護月天! 全11巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]

まもって守護月天! 全11巻完結 [マーケットプレイス コミックセット]

 

『まもって守護月天!』は、桜野みねねによる日本の漫画作品。『月刊少年ガンガン』(1996年4月 - 2000年2月、エニックスお家騒動により連載中断)に連載。連載期間中には本作品を原作としたアニメも制作された。

 まもって守護月天! - Wikipedia


主人公は雰囲気イケメンの中学二年生男子、七梨太助。中国を放浪している父親から手紙と共に「支天輪(してんりん)」という八角の輪が送られてきた。

その支天輪から現れたのは、神々しくも可憐な少女、小璘(シャオリン)。彼女の話によると、月を司りあらゆる不幸から主を守る宿命をもった精霊守護月天だという。

そんな経緯から、中学二年生の少年、太助とシャオリンの奇妙な二人暮らしは始まる。

物事を何も知らないシャオリンに振り回されながらも楽しい日々を送るふたりの間には、主従を越えた感情が徐々に芽生えていく。しかし守護月天には、ある“悲しい掟”が定められていた……。

また、シャオリンが使役する星神達も魅力的だ。手のひらサイズの女の子、離珠(りしゅ)は、喋れこそしないが身振り手振りで一生懸命シャオリンに言葉を送る大切な連絡係。シャオリンが最も信頼を置いている星神だ。この離珠がとにかく可愛い。同作品のマスコット的存在といえるだろう。

北斗七星(ほくとしちせい)は、数ある星神の中でも最強の戦闘能力を有する、7人の星神。普段温厚なシャオリンが激昂するときに限り使役される。そのため出番は極端に少ない。

ほかにも、太陽の精霊・慶幸日天汝昴(けいこうにってん ルーアン)や、大地の精霊・万難地天紀柳(ばんなんちてん キリュウ)ら個性的な面々が物語に華を添える。

よくある“ハーレムもの”と侮ることなかれ。太助の周りを取り囲む、友人や精霊が複雑な人間関係を繰り広げることになる。相関図にしてみたらいくつ矢印があっても足りないだろう。

出会い、別れ、涙、愛……悲しくも嬉しい、月の少女の物語がそこにある。

 

 

魔法陣グルグル

魔法陣グルグル 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

魔法陣グルグル 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)

 

 『魔法陣グルグル』は、衛藤ヒロユキによるギャグファンタジー漫画作品。『月刊少年ガンガン』にて、1992年8月号から2003年9月号にかけて連載された。話数カウントは「第○章」。単行本は全16巻で、1200万部以上が発行された。

魔法陣グルグル - Wikipedia


でました魔法陣グルグル。この漫画(アニメ)に心を奪われた少年少女は多いのではなかろうか。ノートに鉛筆で魔法陣を描いた記憶も、今はただ懐かしい。

作品の舞台は「グルグル世界」と呼ばれ、「ドラゴンクエスト」をモチーフにしたファンタジーRPGの世界で形成されている。

ある日、主人公の少年ニケが生まれ育った「ジミナ村」に「勇者募集!!魔王を倒した者に金5万R(リン)を与え、コーダイ国の王子とする」という立札が立つ。

この破格の報酬に目が眩んだニケの父は、息子に旅立つことを促す。父親の力強い後押しもあり、ニケ少年は渋りながらも、ミグミグ族の少女ククリと共に魔王を討伐する旅に出る。

ドラゴンクエスト風の黒地に白抜き文字のメッセージウィンドウが、ツッコミ兼ナレーションの役割を担う斬新な設定が面白い。

また、作中に散りばめられたシュールなギャグには抱腹絶倒させられるだろう。そして伝説級のギャグキャラクター「キタキタおやじ」の存在も忘れてはいけない。

もしかすると彼は、この作品の主人公のひとりなのかもしれない。とにかく強烈な個性を放っている。

基本的には怠惰だが、ヤルときはヤル系勇者ニケと、真面目で泣き虫のグルグル(魔法)使いククリの、かわいい大成長譚である。

また、本作の続編となる『魔法陣グルグル2』が2012年11月より、『ガンガンONLINE』にて連載中。こちらもチェックしてみてはいかがだろうか。

魔法陣グルグル2 (1) (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

魔法陣グルグル2 (1) (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

 

 

 

ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章

ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 完全版 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックスデラックス)

ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 完全版 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックスデラックス)

 

 『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』は、原作・設定:川又千秋、脚本:小柳順治、画:藤原カムイによる日本の漫画作品。1991年から1997年まで『月刊少年ガンガン』(エニックス、現・スクウェア・エニックス)に連載されたファンタジー漫画作品である。コミック累計発行部数1,800万部以上。

ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 - Wikipedia


引き続きドラゴンクエストシリーズ。
この作品は、ゲーム「ドラゴンクエストⅢ」の100年後の世界が舞台だ。かつて大魔王ゾーマを屠ったロトの名を継ぐ勇者・アレルの子孫が主人公。

名はアルス。少年は、正義感の強い優しくて素直な少年に育っていた。生まれながらに勇者としての資質を持ち合わせていたのだ。

場面は変わり魔王城。ここにも何故かロトの子孫が……。名はジャガン。この時代の魔王・異魔神の配下、魔神王ジャガンとしてその一角を担っていた。

このふたりの、非業ともいえる宿命と因縁を軸に物語は進んでいく。

ドラゴンクエストといえば、勇者とその“仲間たち”。アルスとパーティーを組むことになるキラ・ヤオ・ポロンも、ゾーマ討伐パーティーである3人のケンオウの子孫という設定が熱い。

100年の時を越え、人類の悲願を背負った少年少女たちの大冒険に、胸は驚くほど弾むだろう。

「謎の第3のロトの存在」「ケンオウの大覚醒」「獣王グノン戦」「アルスとジャガンの一騎討ち」など、どの場面を切りとっても名シーンばかりだ。なかでも「獣王グノン戦」は、涙が滲んでうまくページをめくることができないかもしれない。

 

 

ハーメルンのバイオリン弾き

ハーメルンのバイオリン弾き 1巻 (ココカラコミックス)

ハーメルンのバイオリン弾き 1巻 (ココカラコミックス)

 

 『ハーメルンのバイオリン弾き』は、渡辺道明によるファンタジー漫画。『月刊少年ガンガン』において、1991年4月号から2001年2月号まで連載された。単行本全37巻、他にガイドブック全2巻。1996年にアニメ映画が公開され、続いてテレビアニメが1996年から1997年にかけて放映された(全25話)。

ハーメルンのバイオリン弾き - Wikipedia


そうだ。私が“あの日”出会ったのは紛れもなくこの漫画だ。
元々は読み切り作品だったが、後に「魔法陣グルグル」「ロトの紋章」と並び、「ガンガン御三家」と呼ばれたかどうかは知らないが、そのぐらいの人気作になる。

この作品は、北の都にいる魔王を倒すために旅を続けるファンタジー漫画だ。こう書くとどこにでもあるありふれた作品のようだが、違う。

主人公ハーメルは人間と魔王のハーフ。その頭には小さな角が生えていた。そのことが原因で幼い頃から村の子供たちにいわれのない迫害を受けていた

そんなとき、少年の心を癒してくれたのは母親が奏でるバイオリンの音色だった。

「どうして……僕も!母さんも!何も悪いことなんてしてないのにこんなにヒドいことをされなきゃいけないんだ!もうこんなのイヤだよ!!」

「ハーメル。どんなことがあっても人間を憎んではダメよ……。この先、きっといいことがあるわ」

ハーメルの体には大魔王ケストラーの血が流れている。その力の恐ろしさを知っていた母親パンドラは、ハーメルの中の血が暴走しないように、何度も優しくいってそう聞かせた。

「人間を憎んではダメ……」

後に、ハーメルたちが暮らしていたこの村は、一晩で骸と瓦礫の山となり、パンドラは氷漬けにされることになる。

ハーメルには双子の妹がいた。名は「サイザー」。彼女は幼い頃、魔王軍にさらわれてしまった。

「俺は人間だ」

人と魔の狭間で揺れ動く勇者ハーメル。大人になったハーメルは、道中で出会った愉快な仲間たちと共に、魔王がいる北の都を目指す。それぞれの信念を胸に……。

こう書くと、けっこうシリアスな漫画のように思うかもしれない。実際かなりシリアスな話ではあるが、その対極を突き抜けるコメディ要素がこの作品の本来の売りだ。

「女の子にめっぽう弱い、愛の勇者の鼻血芸」「魔法大国スフォルツェンドの王女の着ぐるみ芸」「ハーメルの肩にのる謎のしゃべるカラスの鍋芸」などそのネタの多さは多岐にわたる。

シリアスな話とギャグパートが織り成されるさまは、まるで難解な楽譜のよう。しかしそれが独特のテンポを生み出し、物語に勢いを与えていることは間違いないだろう。

おすすめの作品だ。

 

 

おわりに

今回、私が幼い頃に読んでいた「少年ガンガン」の漫画は、こうやってみるとけっこうオタク色の強いものだったのだなと、改めて思った。そりゃこうなるはずだわ……。

だが、そのどれもが私の血となり肉となり、この体の糧になったことにはこの場を借りて感謝を述べたい。ありがとう。そして、ガンガン黄金期に幸あれ。いい時代です。